ランニングマシンよりも外で走った方がいいのか?

 健康維持のためにランニングや散歩をすることが多くなりますが、屋内で行うのとランニングマシンを使って行うことに違いがあるのでしょうか?

 いくつかの論文などでの検討があるのでまとめてみたいと思います。

 屋外での運動の代表的なメリットは以下があります。

  • 様々な刺激(景色)に触れるので気分転換になる
  • 風や路面変化に対応する体幹とバランスが良くなる
  • 着地の衝撃に耐えられる足を作れる

 屋内での運動の代表的なメリットは以下があります。

  • 天候に左右されずにできる
  • 強度の調節がしやすい(速度・傾斜・時間)
  • 連続して行える(外では信号などで止まる)
  • 一定なのでペースを把握しやすい
  • 負荷が小さいので怪我がしにくい

 運動の効果は行っている間はありますが、運動を止めてしまうともとに戻ってしまうために、「継続すること」が非常に大切になります。そのため、「健康維持」を目的として行う場合であれば、屋外・屋内ということに拘らずに、継続できることが大切なので、自分のペースなどを考えた上で決めていけばいいです。

 一方、ランニングにはまり、マラソン大会などのレースに参加する場合には、「マラソン」に合わせた身体にしなければいけないので、マラソン競技に合わせた身体作りとして、屋外・屋内の運動を考えていく必要があります。

 トレッドミルの運動負荷について有名なのは、Jonesら(1996)に作成された論文があり、屋外では風などの影響があるので、その負荷を屋内で発生させるためには、「1%の傾斜をつける」と屋外の酸素消費量と近いとしています。

 ですが、この研究は比較的古いものなので、現在はランニングシューズの発達もあるために、正しくないのではないかという話もあります。

 この点に言及されているのが以下の論文になります。

【卒業研究】 トレッドミルでのランニングは屋外でのランニングを正確に再現しているのか?

 簡潔にまとめると、1%の傾斜をつけた場合では、

  • 負荷はトレッドミルの方が高い
  • トレッドミルの方が動きが小さい

ということで、身体に対する負荷は高いので、体力面を鍛えたい場合は、屋内トレッドミルで傾斜をつけるのは有効ですが、ランニングの動作が小さくなってしまう可能性があります。

 他にも屋外・屋内を比較したところでは「着地の衝撃」に耐えられる身体という視点で解説をしてくれているものあります。

【やっぱり外で走った方がいいの?】ジムで走っていた自分が、屋外で走るようになった理由とそれぞれの利点

 この記事で紹介しているのが、走っているときに、下腿の骨(脛骨)にかかる負担がありますが、フルマラソンの後半では疲れてくるので下肢への負担をやわらげるように衝撃が少ない走り方になるということで、フルマラソンの後半では脛骨への衝撃が少なくなっています。

 屋内のトレッドミルでは、フルマラソンのどの期間と比較しても、脛骨に関わる衝撃が少なくなっています。

ということで、フルマラソンを走るようであれば、衝撃に強い足(下腿)を作っていかなければいけないので、屋内で走るよりも、屋外で走る方が衝撃に強い足を作れることになります。

 もちろん、屋内練習だけでもフルマラソンに挑戦できるでしょうが、このデータからすると、衝撃に強い足になってはいないので、怪我をするリスクがあるという点は考えておきたいですね。

 なぜかというと、下腿の脛骨はランナーで多い「脛骨疲労骨折」が発生しやすい場所になります。そのため、屋外で鍛えようと頑張りすぎると疲労骨折をしてしまうことになりますし、逆に屋内だけで走っていた人が、連続してレースに出場すると疲労骨折を生じてしまう可能性があります。

 健康のため、体力向上のためには、身体に負荷や衝撃を加えていかなければいけませんが、負荷や衝撃を加えてしまうと怪我のリスクもあるので、しっかり休養を取りながら、運動に取り組んでいくことが大切になります。

 当院では、運動に関する話もするので、今回はまとめましたが、運動量などは個別性も強いので、通われている方には、より具体的な話をすることもあります。