四十肩・五十肩と鍼灸
四十肩・五十肩は急に痛みがでて、動かせなくなって辛い症状ですが、鍼灸の施術が非常に効果的な疾患の一つです。
1.四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩は「肩関節周囲炎」「石灰沈着性腱板炎」などと診断されるもので、四十肩・五十肩は一般的な呼び方になります。病院で診察を受けたあとに、「四十肩・五十肩ですね」と言われた場合は、病名としては、「肩関節周囲炎」や「石灰沈着性腱板炎」などが付けられていることが多いです。
肩関節は、腕の骨(上腕骨)と肩の骨(肩甲骨)が合わさっていますが、肩は非常に大きく動く場所なので、鎖骨、肩甲骨と胸郭(肋骨)など多くの構造物が相互に関わることで、広い可動域を確保しています。
なんらかの原因で、動きが悪くなってしまうと、炎症が生じ、痛みを感じる状態が「肩関節周囲炎」になります。「肩関節周囲炎」になった場合は、炎症があるために出来るだけ動かさずに炎症が強い急性期を乗り越え、痛みが落ち着いてきたら、温めたり、運動をしたりすることになります。
痛みがあまりにも改善しない場合は、痛みを生じていると考えらえる原因に対して手術が行われることがあります。「石灰沈着性腱板炎」の場合も痛みが強い間は炎症があるので動かさないようにして、痛みが落ち着いてきたら、温めたり、運動をしたりしていきます。
2.四十肩・五十肩の施術
四十肩・五十肩は現代医学的に考えれば「炎症」が生じていることで「痛み」を感じているので、「炎症」があるつまり「痛い」ときには、動かさないようにして、炎症を抑える薬(湿布など)で対応することになります。
言葉を言い換えれば、「痛み」が酷くて「動かせない」し、「動かす」と「痛み」が出るのを我慢するということにもなりますね。これは悪い訳ではなく、現代医学の考え方からすれば正しいので不思議ではありませんが、痛みが辛い人にとってみれば、「何もしてもらえない」「治らない」という気持ちになることが多いです。
実際に、来院される方が「何もしてもらえなかった」「痛みが変わらない」と言いますね。
鍼灸では東洋医学の考え方も使っていきますが、経絡という身体全体の状態を診ることが多いので、四十肩・五十肩の場合は、バランスの低下から生じていると感じることが多く、バランスを整えると、あっという間に改善していくことも多いです。
現代医学では炎症があるところには「冷やす」「炎症止め(湿布など)」「動かさない」というのが当たり前ですが、鍼灸などの考え方では炎症がある(痛み)がある場所は治療すべきところで、改善も見られるという考え方があります。
私自身が四十肩・五十肩の方を診て思うのは、四十肩・五十肩は「酷い肩こり」だなという感想です。
例えば、築40~50年の家って綺麗ですか?不具合ってないですか?
あちこち不具合があって、見えない部分も大きな損傷がある場合も多いですよね?
人間の身体も同様で、見た目も普段も問題がないと思っていても、いろいろな所に不具合が生じていて、たまたま「急に」症状が出てきただけです。
例えば、「台所の水漏れがしました」「床が抜けた」「エアコンが壊れた」「冷蔵庫が壊れた」というのだって、長い間使っていくことで部品などが経年劣化したことで、見過ごせない問題となっていることがほとんどですよね。
人間の身体も同様で、運動不足・偏った姿勢・食事・睡眠などの蓄積から身体の動きが悪くなってしまって、「急に」症状が出てきている場合が多いです。
症状が出始めてすぐの場合であれば、バランスを取っていけば、数分から大きな変化を感じる場合が多いです。
ただし、「炎症」という現象、「限界を超えて痛みになった」という事実は変わらないので、完全に「痛み」が抜けるまでは時間が必要なことが多いので、数回の施術を行っております。
ただし、四十肩・五十肩が長くなってしまっている場合(半年から数年)では、なかなか改善しないことも多いです。動きがよくなっていくためには、筋肉・血流が必要ですが、長い間、動かさなかったために筋肉が萎縮してしまった場合は、回復させる力が非常に弱いです。
例として、「長くなってしまった場合(半年から数年)」をあげましたが、こういった方でも萎縮がなければ、すぐに改善することも多いので、現状は見てみないと何とも言えないというのが実情になります。
四十肩・五十肩で、辛い方を見ると、もっと早く来ていれば、早く楽になれたのになと思う事が多いですね。
3.まとめ
身体に辛い症状が出ると、「年だから」と言われたという話も多いですが、「年」というのは「事実」でもありますね。車だったら「10年」を超えたら故障が出やすくなりますし、家電も「10年」を超えたら故障が出ますよね。
「家具」は比較的丈夫ですが、それでも「数十年」も経過したら、ダメになってしまうものもあります。物によっても違いはありますし、たまたま壊れやすかったという場合もありますが、物は確実に壊れます。
壊れないためにはどうするかと言えば、「メンテナンス」が大切で、「自分と人の命に関わりやすい車」は定期的なメンテナンスがありますよね。
身体はどうでしょうか?メンテナンスは、食事・運動・休養の3本柱です。正しい食事を心がけてますか?
運動はしているという人もいますが、たまにゴルフ、たまにフットサルは、やらないよりはいいですが、メンテナンスの運動とは言えないです。身体のメンテナンスは思ったよりも大変なものなので、定期的なメンテナンスをできるところを見つけるのも大切ですよ。