手技療法の効果

 手技療法が肩こりの改善に効果があるというニュースが出ました。ですが、突っ込みどころもあるので、手放しで喜べるかというと、大丈夫かなと心配になる点もあります。

 手技療法が肩こりに効果があったというニュースはこちらになります。

整骨院などの「手技療法」、肩こりの改善に効果があることを明大が確認

 論文はこちらになります。

Evaluation of Local Skeletal Muscle Blood Flow in Manipulative Therapy by Diffuse Correlation Spectroscopy

 結論から言えば、「肩こりと関係する僧帽筋を刺激すると血流が増加した」ので、肩こりに効果があるということです。手技療法などを行っている人からしてみれば嬉しい情報なのですが、よく読んでみると突っ込みどころがあるので、その点を挙げておきます。

 まず、「柔道整復師の技術である手技療法」とありますが、「柔道整復師」は「骨折、打撲、捻挫の処置」を行う資格で、資格の学習中でも手技療法は行っていません。現場では、「揉む」などの手技療法を歴史的に行っていることが多いので、「骨折、打撲、捻挫の後療法」という言葉で、手技療法を入れています。

 通常、手技療法を学ぶ資格は「あん摩マッサージ指圧師」だけになるので、「柔道整復師の伝統的な手技療法」って何だろう?という点です。現場で行っている、「後療法」という名前のいわゆる「マッサージ」ということなのかなという疑問がありますね。

 しかも、「肩こり、背中の張りなどの緩和目的」で施術を受けるのは、柔道整復師の保険請求分野から外れているので、業務範囲から外れている話ではないかなというところです。

 書かれた著者は、柔道整復師なので、柔道整復師に関するメリットについての話になるのは当然なので、効果がなかったという反対意見の論文も並べて読みたいところですね。

 手技療法を行っている私としては、他に気になったのが、以下の文ですね。

手技療法の前後では、心拍数、血圧、自律神経活動は変化せず、手技療法は全身の循環状態に影響を及ぼすことなく、目的とする筋の血流のみを増加させる働きがあることも判明したほか、肩こりがある人(僧帽筋部が硬い人)と肩こりがない人では、肩こりがある人の方が、手技療法により筋血流がより増加したことも判明したという。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220117-2250777/

 手技療法で、様々な症状や疾患が変化・改善していくのを体感していると、手技療法で、「心拍数、血圧、自律神経活動」は変化をしているだろうというところと、「僧帽筋」という肩の筋肉を刺激すると、他の部位の状況も変化するので、やったところだけの変化というのは疑問に感じたところです。

 もちろん、論文としては、他にも影響があったとなると、何でもいいのではないかとなってしまうために、他に影響が出なかったというのはいいところなのですが、手技療法が上手になればなるほど、他にも影響を及ぼすというのも分かるので、現実とは少し違うなという部分があります。

 もちろん、手技という業界においては、こうやって科学的なデータを示しながら出していくというのは大切なところなので、資格や内容はともかく、反対意見も含めて、どんどんと情報が出てきて、議論されていくのは非常にいいことですね。

 私自身も大学生のときにデータを集めて論文を書いたことがありますが、論文を書くのって凄い大変なのですよね。

 そういえば、違うニュースで変わったものがありましたので、ついでにご紹介しておきます。

ビールが筋肉老化抑制、毎日83リットル飲めば

 タイトルを見た時に、「83リットル?」とびっくりしました。普通は無理でしょうし、笑い話になるところもあるでしょうが、ビールの成分が効果があったのであれば、その成分を抽出して、健康食品や飲料にすることができるので、おもしろい内容ですね。

 健康に関する研究や情報はいろいろな物が出てくるので、またご紹介していきます。