手首の脈をみて何がわかるのか?
当院では東洋医学的な診察の一つとして、手首の脈をみることを行っています。施術前だけではなく、施術中、施術後など何度も確認しております。
これは「脈診(みゃくしん)」というやり方で、片手だけでみているので「脈状診(みゃくじょうしん)」とも呼ばれています。東洋医学を行う方からしてみたら、当然の診察法の一つなのですが、実際にはやっていない人も多くいます。
脈診は学校教育でも学習していくのですが、学校に通っている方は病気ではないですし、年齢も若い方も多いために、在学中にいろいろな方をみる機会が非常に少ないです。
そのため、鍼で脈をみていく場合には、両手で脈をみることでツボを出せるような、システム的なやり方で使う人はいますが、全員ではないので、やっぱり脈診をする人は鍼灸師でも少ない傾向にあります。
当院では、片手で脈をみていくので、このやり方は鍼灸師でもやっている人もいますが、中国や漢方での診察での使われ方に近い傾向があります。
例えば、治療室にきてベッドに横たわっているのに、脈が運動したときのように早くて、強いのはおかしいですよね?
身体も痩せていて元気がなさそうで、疲労感も多い人の脈をみたら、運動しているときのような強くて速い脈をしていたら、少しイメージと違いがあります。
簡単に言ってしまえば、こういった「違和感」を探し、「違和感」が解消していくように施術を行っていきます。ツボを使い分けることで、「違和感」が変化することもありますが、鍼を刺して、しばらく置いておくことで「違和感」が変化することもあります。
脈だけで全てが分かる訳ではないので、毎回、何度も脈をみていくことで身体の状態を把握し、施術によっての変化、何回か施術したことによる、累積の効果をみていくことが大切になります。
脈診自体は、誰かに付きっきりで習うというのが難しいので、いろいろな書籍をみていきながら、自分なりに解釈をして理解していくことが多いので、脈診を身に付けて使っていくためには、努力がどうしても必要になります。
人によっても脈診の癖が出ることもあるので、単純に人にも聞けないのが辛いところです。ですが、毎回、何度も脈をみていると、「いつもと違う」ということにも気づくので、身体の変化の兆しを脈診で気づくこともあります。
会話だと聞き忘れてしまうこともありますが、脈診は触ればいいだけなので、いろいろな情報を知るためにも大切な診察法になります。