新型コロナ後遺症の倦怠感と息切れと漢方薬に関する考察

 新型コロナの感染拡大は続いていますが、感染した後に後遺症になってしまう場合がありますね。未知の疾患なので、身体の中でどういうことが起こっているのかわからないので、後遺症の治療は非常に難しいでしょうね。

 現代医学は「分からない」と対応できないので、こういった場合は、東洋医学だったらどうだろうと考える人もいるでしょうし、私自身の勉強のためにもまとめてみたいと思います。

 中国では新型コロナが発生した当初から、漢方や鍼灸の利用の仕方というのを出しているので、考え方として参考になりますが、過去のブログでも書いているので、こちらを参考にしてください。

 東洋医学では、東洋医学的な診察をもとに身体の状態を把握して漢方だったり、鍼灸だったり、マッサージをしていくもので、すべてを同時に行うことも可能です。

 病名、病能が現代医学的にわからなくても、東洋医学的な診察は違うので、どんな疾患、症状に対しても対処をしていけます。

 コロナの後遺症といわれる、倦怠感と息切れは、多くの場合は、「コロナによって身体の持っている力が低下してしまった」ために生じていると考える場合が多いので、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」が使われやすいのではないでしょうか。

 現代医学では手術後、出産後、高齢者などの倦怠感、元気がない、体力を回復させるという薬がないので、「補中益気湯」は利用されやすい漢方になっているようですね。

 「補中益気湯」「十全大補湯」「人参養栄湯」は身体の不足している物を補うという考え方のものなので、これだけでよくなる場合もあります。

 なかなか改善しない場合でも、身体の不足しているものが時間をかけてしっかり補われていけば、だんだんよくなるという可能性もあります。

 東洋医学の考え方では、時間をかけて行うというのも考えの一つですが、状態にあったものであれば、より早く改善するので、一部の症状だけに効果が出ているけど、他の症状に効果がない場合は、違う漢方薬の方が効果がでることが多いです。

 通常、漢方薬を処方するのは病院で医師が行うことが多いですが、漢方薬や東洋医学については詳しい医師は少ないので、有名なところが使われる傾向があります。

 東洋医学をしっかりと学んで漢方を処方されている医師もいますが、絶対数が少ない傾向にあります。

 倦怠感と息切れは、東洋医学の考えでは「虚証」という「弱っている人」に多い症状になるので、「補中益気湯」が適応となりやすいです。「補中益気湯」は「気」の不足に対して用いやすいので、「血」も同時に不足しているような場合は、「十全大補湯」や「人参養栄湯」などの方が効果的と考えるのが東洋医学になります。

 もともとの体質や、新型コロナによって、身体の中の気血津液の流れに影響が出たことで生じたと考えていくと、様々な漢方薬も後遺症として用いていくことができますが、なかなか使われにくい傾向もあるのではないかと思います。

 水が停滞しているような状態であれば、「五苓散(ごれいさん)」や「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を考えていくこともできます。「五苓散」はよくわからないけど、片頭痛に効くことがあるというので処方されていることが多いですね。

 「半夏厚朴湯」は喉のつまり感で用いられる傾向があります。

 「五苓散」も「半夏厚朴湯」も水が停滞している状態で用いられる傾向があるものなので、片頭痛や喉のつまりがなくても適応となる場合がありますが、東洋医学的な診察をして、東洋医学的な把握をしていないと使われにくくなりますね。

 血のめぐりが悪くなっている場合には、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が適応となりやすいです。

 この3つの漢方薬は婦人科では出されやすい物ですが、他の科に関わる場合だと出されないことがありますね。

 漢方薬は本来、体質に合わせて処方されるので、現代医学の「~科」で分けていくわけではありませんが、いろいろな方の話を聞くと、「~科」で分けて使われることも多い傾向があります。

 新型コロナの後遺症で、現代医学的な治療がないから漢方薬はどうだろうと考えた場合は、東洋医学的な考えで、処方できるところを選んでいくのがいいかもしれませんね。