冷え症は鍼灸で改善されるのか?
冷え症は、夏は冷房、冬は寒さで辛くなってしまいますし、酷い方はしもやけもできてしまって辛い症状の一つです。いろいろと対策をしているけど、改善しないという人も非常に多いです。
1.冷え症は鍼灸で改善されるのか?
冷え症は鍼灸でもかなり改善されていくものの一つです。ただ、冷え症の感じ方は人それぞれ違うので、その人にあった施術が大切ですし、予防もしっかりと考えていく必要があります。
東洋医学では、冷え症は身体の持っている力が不足をしてしまっている状態として考えていくので、身体の持っている力が強くなってくると冷えを感じにくくなっていきます。私自身はもともと寒いのが嫌いで、年とともに冷えを感じることが多くなっていましたが、鍼灸、運動、食事を整えていくことで冷えを感じにくくなってきました。
冷えが酷くて、毎年、しもやけができるような人でも、継続して施術をしていくと、冷えは感じるけど、しもやけは出来なくなってくるということもあります。もちろん、個人差があるので、何回でよくなるかというのは断言しにくいです。1回目の施術から身体が温まるという状態を体感される方が多いですが、通常は3か月程度で効果を体験できることが多いです。
冷え症が辛いということで診させて頂いた方もいますが、実感しにくい方がいました。その方は身体の状態は大きく変化しているので、改善をしているはずだったのですが、ずっと寒くて辛いという話をされていました。ある時、話をいろいろと伺っていたら、それまで靴下を何枚も履いていたのが、冬にはだしで室内を歩き回っていて、冷えを感じていたということで、冷えの状態が大分改善していっていたのが分かり、本人も驚いていました。
冷え症自体は、足先がとにかく寒いという人もいますが、膝付近、腰付近に冷えを感じる人もいるので、その人の状態に合わせた施術というのが重要になっていきます。
病気が原因で冷え症が生じてしまっているような場合は、もちろん、時間がかかりやすい傾向があります。冷え症の方は、手足に汗をかきやすい人もいますが、その場合は、東洋医学的には、身体の持っている力が不足をしていると考えているので、身体の持っている力を強めていくことで、汗をかきにくくし、冷えを除いていくという考え方になります。 冷え症の改善には、鍼灸などの施術だけではなく、運動、食事にも注意をしていった方がいいので、施術をしていく際には、身体の状態を確認して、運動、食事に関するアドバイスをすることが多いですね。
2.冷え症の原因
冷え症の原因は自律神経の乱れと言われることも多く、日常生活を整えていくことも大切になります。身体の血液循環は、自律神経が調節しているので、自律神経が整っていくと、血液循環がよくなり、冷えの改善につながっていきます。
ただ、自律神経を整えるというのは、生活を変えていく必要もあるので、難しいところも多いですね。例えば、職場でエアコンのいる部屋に長時間いて、自律神経が乱れている場合は、エアコンのいる部屋に長時間いないようにしないといけないですが、簡単に仕事を変えることができないですよね。
冷え症だと運動を勧められることが多いでしょうが、自律神経の乱れから血液循環が悪くなり、冷え症が生じているのであれば、運動をすることで筋肉を動かし、血液循環をよくしていくことで、冷え症を改善するという考え方になります。
筋肉は、若い頃は成長と運動とともに増加していきますが、運動をやめていくと、筋力は低下してしまいます。特に、30代以降では筋力が低下しやすくなってくるので、冷え症が悪化してしまうことがあります。筋肉のこりもある状態だと、血液循環が悪くなってしまうので、冷え症を改善するのであれば、筋肉の状態もかなり重要になります。
若い頃で、運動をしているのに冷え症が生じている場合は、筋肉だけではなく、その他の原因も考えていく必要があり、食生活の乱れも影響しやくなります。栄養が偏りやダイエットの影響がある場合があります。
身体のエネルギー、筋肉を活発にするためには、タンパク質、脂質、ミネラルを十分に摂取していく必要がありますが、健康を気にすることで、野菜、果物が中心の生活になると、タンパク質、脂質が不足してしまうために、必要な栄養不足も生じてしまいます。
日々の生活の中で取りやすいのは主食・間食ともに糖質になりますし、身体のことを気遣おうとすると、野菜を摂取しようということになりやすいですが、タンパク質と脂質が不足してしまいやすい傾向があります。 女性の場合はさらに月経などによりホルモンバランスの乱れも生じやすいので、ホルモンバランスを整え、月経を整えていくことも大切です。女性の場合は、骨盤内に子宮などの生殖器も収まっているために、下半身への血流が低下しやすいので、妊娠されている方は、胎児によって足の血流循環が低下をして、足がつったりしてしまうことがあります。
3.冷え症改善のために自分でできること
冷え症を自分で改善していくためには、いくつかポイントがあり、ポイントを押さえていくことが大切になります。ポイントとしては以下の4つになります。
- 自律神経
- 筋肉
- 食事
- マッサージなど
(1)自律神経
自律神経は呼吸、心臓、血流など身体の機能全てに関わっていくもので、適度なストレスで、規則正しい生活を送ることで乱れないようにしていくことができます。ですが、普段の生活ではストレスもかかり、仕事やプライベートで睡眠、食事のリズムが狂ってしまうことが多いです。
自律神経を整えるポイントは、規則正しい生活が大切ですが、リラックスしていくことも大切なので、出来るだけ楽観的に考え、ぬるま湯に長くつかることでリラックス出来る時間を増やしていきます。自律神経のコントロールには、ビタミンも大切になるので、サプリメントの前に野菜類、肉類のバランスの取れた食生活も大切になります。
(2)筋肉
筋肉は動くことで熱を生み出すことができるもので、筋肉がよく動くと、身体の血流循環もよくなっていくので、筋肉を鍛えていくことが大切になります。筋肉を鍛えるというと、ジムに行って、しっかりやらないといけないと思う方もいますが自宅で数分行っていくだけでも筋肉を鍛えていくことができます。
身体を動かす筋肉は全身で大小全て含めると400を超えていきますが、小さな筋肉を鍛えても効果が薄くなってしまうので、大きな筋肉にポイントを絞っていく必要があります。身体のある大きな筋肉は、もも、お尻、胸、背中と4つあるので、この4つを効率的に刺激していくことで、筋肉を鍛えていくことができます。
筋肉は体重の50%を占めるぐらい量がありますが、加齢と運動不足によって低下してしまうので、冷え症の人は運動を勧められることが多いです。運動は、有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動がありますが、有酸素運動は血流をよくし、無酸素運動は筋肉を鍛えていくので、身体を温めていく力が強いです。
有酸素運動を多く行うと、身体の脂肪が減っていくのはご存じの通りですが、脂肪は身体の熱を逃がさないようにする働きがあるので、脂肪が少なくなってしまうと、身体の保温効果が少なくなってしまいますし、せっかく鍛えようとした筋肉も小さくなってしまうので、運動のバランスは重要になります。 大きな筋肉を鍛えるのは、スクワット、膝付きで行う腕立て伏せになりますが、ポイントとしては、ゆっくり行うことで、筋肉にしっかりと刺激を加えていくのが効果的です。
(3)食事
食事でのポイントの一つは積極的にタンパク質を取ることですが、一般的な食事では不足しがちになってしまうので、意識して摂取する必要があります。卵は非常にいい栄養素なので、タンパク質が足らないと思うときに足すといいですね。現代医学的には、食事はカロリーと成分で考えていくので、冷え症を改善していくためには、東洋医学的な考え方を利用した薬膳も考慮していくといいです。
東洋医学では、寒い地域で作られる物は、寒さに対応する力があると考えていくので、冬の食材は身体を温める働きがあると考えていきます。地下で育つ物も身体を温める働きがあるので、根菜類が健康のために勧められることが多いですね。
色も身体に影響を与えると考えているので、暖色系と言われるような黄・赤などの色がある方がいいですが、育つ場所、物によって違いがあります。例えば、バナナ、パイナップルは黄色ですが、南国産になるので、身体を冷やす働きがあります。リンゴは赤で、寒い地域で取れるので、身体を温める働きがあります。トマトも冷やす働きがあるので、注意が必要です。
身体を温める働きで言われやすいのは、生姜、ニンニク、ネギ、根菜になるので、生姜・ニンニク・ネギ・根菜でスープを作り、溶き卵を入れると、身体を温める働きが強く、タンパク質も取れるので、朝食や昼食にお勧めです。
発酵食品も身体を温める働きあるので、キムチ、納豆、味噌もお勧めです。寒い日の夕飯であれば、味噌ベースのキムチ鍋にすれば、身体も温まりますし、発酵食品も取れ、腸内環境を良くしていくことができます。
毎日作るのは大変ですが、一度に多めに作り、ジップロックなどに入れて冷凍させておけば栄養が足らないなという場合に利用することができます。数日かけて飲む場合は、火にかけていくことで腐らなくすることができるので、飲む前に温め、しっかり冷えてから冷蔵庫に入れるように心掛けた方がいいです。 冷たい水をかけられたらびっくりするように、身体の中にも冷たい物をいれると、消化器が驚いてしまうので、常温から暖かい物を取るようにしていくといいです。朝、起きたときに白湯(暖かいお湯に
(4)マッサージなど
マッサージや整体などは、身体のコリを改善し、血流をよくする働きがあるので、継続して受けていくと、冷え症の改善にも繋がっていきます。マッサージになかなか行けない場合は、簡易なマッサージ機やほぐす棒などで、ケアしていくのもいいですが、やり過ぎてしまうと、逆に硬くなってしまうので、物足らない程度の刺激を継続していくのがお勧めですね。
お風呂に入っているときに自分の足を軽く揉むのもいいですが、血流がよくなるように場所を意識していくとよりいいです。 足首の内くるぶしの後ろでアキレス腱の前にある太渓(たいけい)、踵の骨の上でアキレス腱がついてくる女膝(じょしつ)、膝蓋骨の内側から約6㎝程度上で腿の筋肉(大腿四頭筋の内側頭)にある血海がお勧めなので、ツボのある場所を意識して刺激していくといいですよ。
4.まとめ
冷え症は、どこにいてもいつでも感じる不快な感覚ですし、ひどくなると浮腫み、しもやけが出来てしまうので、改善していけたら快適な生活になりますが、原因はそれぞれ違いますし、自律神経、運動、食事と気を付けること、手間がかかることが多いので、大変だと思います。
継続して自分で変えていけるところは行っていって、鍼灸、整体、マッサージなども適時利用していくと、自分の手間も減るので、お勧めです。漢方も体質に合えば、効果が出るので、漢方薬について相談してみてもいいですね。
プロフェッショナルによる施術
当院の院長は、訪問での施術、鍼灸専門学校での鍼灸師の育成、現場で働く鍼灸師などへの技術・知識指導も行っており、鍼灸や整体で様々な疾患も経験してきております。