同病異治と異病同治

 同病異治と異病同治は東洋医学の特徴としてよく言われてくるもので、西洋医学的考え方とは大きく違うということで紹介される言葉になります。なぜ、西洋医学と違うかと言えば、身体や病気に対する考え方が違うということになります。

 病気・症状・疾患と用語はありますが、ここでは病気と症状を混ぜながらの話になってしまいます。一応、疾患は医学的な診断名、病気は個人的な経験と言えますが診断名という意味も生じてしまうので、今回は病気ということで少し広い意味での使い方になります。

1.西洋医学

 西洋医学は、様々な検査をしていくことで、病気の原因を見つけ出し、その原因(状態)に対して病名をつけて、なぜ、その病気がどうやって起きたのかの病態を把握して、対処する(治療)のが基本になります。

 理想は病能を把握して、その病能を進ませないというようにするというのも治療になりますが、

 そのため、西洋医学は見て分類していくことから発達したので、感染症や外傷が得意分野とも言えます。もちろん、原因がはっきり分からないけど、効果が出たというのも当然、取り入れたでしょうが、原則は、原因を発見して治療をするというのが基本になります。

 病気が決定すれば、その病気に対する最善の治療を提供するのが西洋医学の標準治療になるので、原則的には一つの病気に対して一つの治療になります。そのため、異なる病気に対しては異なる治療になりますし、同じ病であれば、同じ治療になります。

2.東洋医学

 東洋医学では病気に対して治療をすることも当然ありますが、病気は身体の中から生じてきた現象であり、その現象は見えない内から生じてきたということで、内側にある臓腑からの異常が病気として出てきているというのが考え方の基本になります。

 そのため、どのような病気であっても、今まで経験したことがないような病気であっても、身体の内側の臓腑に分類整理して治療を考えていくのが基本の形になっているので、同じ病気の状態になったとしても、内側から生じた原因が違うようであれば、治療は変わっていくことになります。

 違う病気であった場合でも内側の原因が同じであれば、治療は同じになっていきます。この身体の内側の問題のことを「証(しょう)」という概念で考えているのが東洋医学になります。

3.一般的な同病異治と異病同治

 基本的には、上記の内容を踏まえた形で言われることが多いので、同病異治と異病同治は東洋医学の特徴としてまとめられることが多くなり、以下のようにまとめられます。

1)西洋医学

 西洋医学では、代表的な頭痛を緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などに分類をして、この病名に対して対応する治療をしていくことになります。

2)東洋医学

 東洋医学では「証」を重視するので、頭痛があった場合に、腎虚による頭痛、肝陽上亢による頭痛で証が違う場合は、治療が異なるので、同病である頭痛に対して治療が変わることになります。逆に、腎虚では頭痛だけではなく、生理痛が生じたり、耳鳴が生じたりすることがあるために、違う病気に対しても同じ治療になります。これが同病異治と異病同治になります。

4.西洋医学にもある同病異治と異病同治

 今までの話は、基本的な内容と言えるところですが、西洋医学でも実際には同病異治と異病同治があるといえます。

 例えば、先ほどの頭痛で言えば、緊張型頭痛も片頭痛も原因に違いがあっても、痛みを抑えるという点では鎮痛薬を用いていけば、違う病でも同じ治療で対処することは可能になります。ただ、大本に対しての治療かと言えば、違うところもあるので、完全に異病同治とは言い難いところもありますが、結果という視点で見れば、立派な異病同治になります。

 抗生物質もよく出される薬ですが、人間の身体には細菌がたくさんいて、免疫が落ちたときに暴れてしまって様々な症状を引き起こしていくので、抗生物質による治療は異病同治を行っていると考えていくことも可能になります。

 同病異治で考える場合でも高血圧の治療でも糖尿病があるのか、加齢による動脈硬化なのか、妊娠しているのかなどによっても治療が変わるので、高血圧でも西洋医学は同病異治を行っているといえます。ただし、糖尿病・動脈硬化・妊娠というのに対して対処していると考えたら、同病異治とは言えなくもなります。

5.まとめ

 鍼灸の国家試験に向けて考える、一般の方向けへの説明で考える場合には、西洋医学は病気に対する治療、東洋医学は証に対する治療ということで、同病異治と異病同治は東洋医学の特徴の一つとして理解していくことになります。

 しかし、病気の治療ということでは西洋医学も様々な薬が開発され、発展してきていますし、検査機器の発達もあり、病気の細分化、個別化も変化してきている状況なので、同病異治と異病同治は東洋医学だけの特徴だけではなく、西洋医学でも用いていると考えていくこともできます。

 これはどの視点・状況によってか使い分けるところでもあるので、その時々の状況によって変わることもありますが、なかなかここまで話が出てくることはないです。

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